実験:ティペットは蜘蛛の巣の酸に弱いのか?

jbopper

2013年06月08日 14:20


<これだけ見ると何のこっちゃ?(笑)>

これから渓流で蜘蛛の巣が増えてくると…

フォルス・キャストしてクモの巣を払ったと思ったら、
   フライがスッと取れてしまった。


な~んてことが起こるんですよね…ほんと力なんて要らないんです。
何かラインの接続部がふっと抜けたか、ティペットの途中が溶けて
その先が無くなってしまったような感覚…

毎年悩む問題ですが、昨年の養沢釣行記事の中で、クモの糸に関する
学術論文・記事を紹介しました。

・ 『蜘蛛の糸― その蛋白質科学』(大崎茂芳)

特にこちらの文献の「VI.糸の化学的組成」はたいへん興味深く、
とりわけ、「2.粘着物質の組成」には、

 「また、酸性(pH 4)である粘着物質は…」

という記述があり、クモの巣の横糸(グルグル回っている糸)に付いている
ネバネバの物質は、酸性であることが分かります。また、ネットで色々
調べてみると、「ナイロンの釣り糸は酸性に弱い」という記述も見つけました。

ということで、私は以下の仮説を立ててみました。

 釣り中に、ティペットを切ったり溶かしたりするのは、
 クモの巣の横糸に連なるネバネバの物質に含まれる酸である。


仮説を立てたら、それを実証してみたくなりません?(笑)
ということで、渓が蜘蛛の巣だらけになる前にちょっと実験してみました。
(これを釣り人の飽くなき探究心と呼んでください…アホでしょ…笑)
この実験では、実際に渓流で起こっていることをシミュレートして、酸が
フライやティペットの結び目に及ぼす影響を確認することにしました。

さて、蜘蛛の巣の横糸のネバネバの物質ですが、酸性度はpH 4と
いうことなので、それに近い pH 3.8のお酢を実験に使ってみることに
しました。



色々と考えた結果、実験のために用意したのは:
 ・フライタイイング用のファインワイヤー
 ・トロトロあんかけ(酢ありと酢なしの2種類)
 ・50cm位ずつクリストファーノットで繋いだ5X、6X、7Xのティペット

酢あんかけは、酢に水溶き片栗粉をお鍋で煮詰めて作りました。
実験のコントロールサンプルのために酢なしであんかけも作りました。



そして、タックルのセットです。

7.6ftの3番ロッドにセットした3番ラインに使い古しのリーダーを付けて
その先に、順次上のティペットを接続して使うことにしました。

更に実験する時は、この先にフックポイントを取ったフライをフリーノットで
付けます。

実験場所は近所の公園。シーソーの手摺りの間にタイイング用のファイン
ワイヤーをセットします。このファインワイヤーを蜘蛛の糸に見立てます。
(ここで最初の写真の出番です。笑)

ここから実験の開始となりますが、今回は3つの場合分けをしてみました。

 1) ファインワイヤに何も付けずにティペットを絡ませてみる
 2) ファインワイヤに「酢なしトロトロ液」を付けて、ティペットを絡ませてみる
 3) ファインワイヤに「酢入りトロトロ酢」を付けて、ティペットを絡ませてみる

(1)でラインが切れるなら、強い糸に絡まるとティペットは切れるということに、
(2)でラインが切れるなら、酸性がなくてもネバネバの物質が付いた強い糸に
絡まるとティペットは切れるということになります。そして、(3)でラインが切れる
なら、酸性のネバネバ物質がついた強い糸に絡まるとティペットは切れると
いうことになるわけで、私の仮説が実証されるわけです。

後は、渓流で釣りをするがごとく、ファインワイヤに絡めるようにキャスティングを
繰り返すわけですが、今回は(3)、(2)、(1)の順番で実験することにしました。

さて、結果ですが… 長くなってしまったので次回にしましょう…(笑)

続く…

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