スプリング・オリーブ・スパイダー(SOS)

jbopper

2012年05月23日 08:05

先日の良型を含めて、最近このフライで良い釣果を得ています。


<フックは歯グキに刺さっていたようですね…危なかったぁ~!>

以前、ご紹介したように、これはDavie McPhailさんのスプリング・オリー
ブ・スパイダー(勝手に略称:SOS)というパターンです。(マクフェイル
さんのタイイングビデオはこちらから。)

3月下旬からテストを重ね、日本の渓流の水生昆虫を意識しつつ、マテリ
アルや巻き方も自分流にアレンジしてみたり、マクフェイルさんのレシピと
は若干違う点もあるので、巻き方を記録しておくことにします。

ところで「スパイダー」って「蜘蛛フライ」?
「スパイダー」=「蜘蛛」だと思いがちですが、このパターン、どう見ても
「蜘蛛」には見えませんよね?

そこで、ちょっと調べてみたら、「スパイダーパターン」は、結構歴史があっ
て、元々英国でソフトハックルのウェットフライに使われているカテゴリー
名のようです。フックにスレッドだけみたいな簡単なボディを作り、アイ側に
パラッとパートリッジとかを巻いただけの「Partridge and Orange」
みたいなパターン群をそう呼ぶみたいです。

一方、ドライ・スパイダーは、一般的には、フックサイズに対して長いテイル
と長めのハックルを巻き、ウィング材を特に取り付けないドライフライのよ
うです。また、「Skater」フライと呼ばれる、水面を滑らせるパターンとも被っ
て使われることのあるフライ名称のようです。

多分、ハックル関連がボディより長いので、形状的に「足長の蜘蛛」を彷彿
とさせるだけで、実際にフライが真似ているのは、メイフライ、ストーンフライ、
ガガンボなどの場合も有りうるということでしょう。(もちろん、蜘蛛を真似た
フライも存在することは確かですので、区別が必要です。)

ということで、この場合の「スパイダー」はフライのカテゴリーを指していて
特に「蜘蛛」フライを指しているのではないということが何となく判りました。

さて、今回の「SOS」フライですが、特徴的なのは、ウィングを取り付ける
代わりにヘンハックルがコックハックルの中に巻き込んであることで、濡れ
たヘンハックルが自然にウィング的な印象を渓魚に与えているのだと勝
手に思っています。ウィングがないのでフライが回転しないのも良い点!



私は、このフライを、この時期に渓流でチラホラ見かけるコカゲロウを意識
して使っていますが、その弱点は、やはり「見えにくい」ことです。ウィングが
ないですから…ただ、フロータント処理をちゃんとしておけば、モコモコっと
したフライが何となく水面に見えますし、私のレシピでは、敢えて裏が白っ
ぽいコックハックルを使って視認性を上げる工夫をしています。
 <スプリング・オリーブ・スパイダー(SOS)>
・ フック: Maruto d04(バーブレス) #14
・ スレッド: ライトオリーブ
・ テイル: コック・デ・レオンハックルファイバー
・ ボディ: コンドル・クイル(オリジナルはターキークイル)イエロー
・ ハックル:バードDkジンジャーコックハックルとブラウン・ヘンハックル
 (オリジナルレシピではダイド・グリズリーコックハックルを使用)

1)下巻きは、フックのアイ側3分の1くらいまでします。


2)その場所から、テイル材を付け始めます。


 そして、フックベンドまできたら、フックとテイル材の間に1回スレッドを
 回して、テイルを上向きに広げてあげます。


3)コンドルクイルの細すぎる先端1~1.5cmをカットして、
 ボディの長さだけ、わざとはみ出させて留めて…


 はみ出たクイル材が隠れるまで、スレッドを軽く巻いていきます。

 (細身のボディにクイル材だけのボディを作ろうという魂胆です。)

4)ここで、クイル材の補強を兼ねて瞬間接着剤を…


 満遍なく、でも、ほんのちょっとだけ垂らします。

 (接着剤を着けないとフライの寿命が短くなります。ボテッと着け
  すぎた時はティッシュで吸い取ってしまいましょう。)

5)クイル材を丁寧に巻いてスレッドで留めてカット。そして、スレッドは
 そのままアイ側までテーパーが付く様に巻いたら、ハックルを付ける
 場所まで戻しておきます。


※ 因みにコンドルクイルは特に先端に近い部分を使うと、写真の
  ようにケバケバボディになりやすいのですが、根元に近い部分を
  使うと、もっと綺麗に体節が作れます。



  ただし、どちらでも釣れます。ケバケバの部分は濡れたとき結構
  艶かしい雰囲気を醸し出してくれます。

6)コックハックルの裏が前になるように、スレッドを2回ほど巻いて
 固定します。

 (コックハックルは、固定する場所のファイバー両側数本づつを
  シザースでカットしてギザギザにしておくと、固定しやすくなります。)

7)次にヘンハックルですが…


 こちらは根元のファイバーをムシって…


 ストークを2mm弱残してカットして、こちらも裏が前になるように
 コックハックルの前に固定します。

 (後で抜けないようにしっかり固定しましょう。ヘンハックルは先端
 部分から固定&巻く方法もありますが、後でコックハックルの間に
 巻きやすいので、コックハックル同様根元部分から巻いてます。)

8)コックハックルを巻きますが、留めたヘンハックルの後ろに3回、
 前に2回、回転させます。根元を留めたら、ハックルをカット。


9)ヘンハックルは、コックハックルの間を2回転半させて、同じく根元を
 留めてカット。




10)ここで、私は、左手の親指と人差し指で、アイ側のハックルを全部
 まとめて掴んで、後ろへ移動させます。

 (髪の毛をオールバックにするような感覚です。フックのポイントには
  ご注意ください。)

 そして、出てきた部分、ハックルの束も含めて2回ほどスレッドを
 ギュッと巻いてヘッドを作りやすくします。


11)ウィップフィニッシュしてヘッドを作り、スレッドはカットします。


12)最後に乱れたハックルを綺麗に整えるだけでなく、このフライの場合、
 フックポイント側のハックルを敢えて掻き分けて上に持ち上げて完成に
 なります。


 ソラックスパターンに近いイメージですが、こうすることで、フライが水面
 にピタッと付いて姿勢が良くなるし、フライの中心にあるヘンハックルが
 虫のソラックス部分のような雰囲気を出してくれるのかもしれません。
 (そう言えば、このフライはダビング材を一切使っていませんね。)



上から見て、ヘンハックルが作る色の変化、判りますか?
下の赤バージョンは、赤いスレッドで。こちらも実績あります!


<こちら「SR(Red)S」でしょうか?>

※ 今回使ったブラウンのヘンハックル(ヘン・セット)です。



  私がタイイングを始めた頃、雄鶏・雌鶏の羽の違いもわからない私が、
  今はもう閉じてしまった新橋の釣具屋さんで、格安で見つけたものです。



  ハックルの中心と周りの色の違いが、巻いたときに何とも言えない良い
  雰囲気になります。このハックル、菅釣り用のウーリーバッガーとかにも
  使っています。

 ♫ S・O・S、S・O・S、ほらほら呼んでいるよ~♫ (笑)







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